ぼくも、いわゆる精神主義が幅を利かせている場は、
とても苦手だし、そういう状況をつくりたいと思わない。
ガッツだの根性だの、やる気だの本気だので、
無理なことをさせられるのは、いやだ。
他の人にも、そういうことを強要したくない。
ただ、たまに「根性で乗り切りました」というような
精神主義的な発言に共感することがあることについては、
隠すつもりはない。
ずいぶんまどろっこしい言い方だけれど、
映画の主人公が、精神主義的なことをすべて排除して、
「こうやるのが合理的だよ」とか、
「そんな根性みたいなものは、ゴミ箱に捨てたよ」
なんてことばかりを言っていたら、
ちょっと興醒めしちゃうかもしれない。
いま、まだラグビーのことを反芻しているのだけれど、
田中史朗選手の「滝行」について考えていた。
真冬に滝に打たれている田中選手のニュースを見て、
「あんなことをしてなんになる」という人と、
「あれだけ、勝ちたい思いが強いのだ」という人、
両方の感想があったろうと思う。
ぼくは、「人事を尽くすだけでは足りない思い」を、
ああやって発現させたのだろうと思っていたが、
田中選手の気持ちを、もっと、きちんと
説明できないものだろうかと考え続けていた。
そして、こういうことかもしれないぞと、答えを出した。
田中史朗選手の「滝行」は、
「優先順位」を全身に覚え込ませるための行動である。
どんな人にも、やりたいことや
やらねばならぬことは、たくさんあるはずだ。
だが、最も重要なのは「これだけはなにより大事」と
本気で決める「優先順位」なのである。
それが、他のなにでもなく、
ワールドカップという舞台でのラグビーであると
じぶん自身に伝えたのだと思った。
他のどんなことのためにも「滝行」などしないだろう。
祈りや願いのためより、「優先順位」の決定が大事。
ぼくも「本気の優先順位」を決めたいときには(?)。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
人は「優先順位」の二番目とかを大事にしすぎて失敗する。
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さ、あなたは何を感じましたか?
出典:ほぼ日刊イトイ新聞 今日のダーリン 2019.11.12
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