創部75年記念部史

2020-05-06

パンデミック・欧州レポート!


ドイツ連邦共和国
あっという間に全世界に蔓延してしまった新型コロナウイルス。4月に日本で緊急事態宣言が出されましたが、ヨーロッパではそれ以前に罹患者が急増したため、各国で様々な対応がなされてきました。2020年に入ってから今に至るドイツでの状況をお伝えします。

レポーター:テンコ(自称・大町クラブ欧州特派員)現在ドイツ西部デュッセルドルフ近郊に在住。

◼︎1月 遠い出来事

・中国での新型コロナウイルスによる感染拡大が報道され始めたが、その頃はまだ遠いアジアでの出来事のような認識であった。

◼︎2月 アジア人差別始まる

・アジア人に対する各地での人種差別を耳にする事が多くなる。NYで、マスクをしているアジア人女性が暴行されている動画は記憶に新しい。

・私も実際レストランで、ボーイが注文を受けに来た時アジア人と分かるなり襟元を引っ張って口元を隠し、ウイルスから身を守るような動作をされた。

・2月末、ドイツ国内で感染者が確認され始める。この頃から、在ドイツ大使館から連日のように緊急メールが届くようになる。

◼︎3月 接触制限措置発表

・日を追うごとに感染者が激増し、日本外務省の感染症危険情報が3/9にレベル1(十分注意してください)の発令があってからレベル3(渡航中止勧告)に引き上げられるまで、わずか2週間であった。
閑散とした街並み

メルケル・ドイツ首相は異例の記者会見を行い,社会生活上のさらなる接触制限措置について発表。食料販売店、衛生・医療関連施設、ガソリンスタンド、銀行、郵便局等の生活必需な施設以外はほぼ閉鎖され、レストランなどの飲食店も3/23以降は閉鎖された。

学校ももちろん閉鎖。多くの企業が在宅勤務でリモートワークに。散歩など屋外での運動は許可されるが、公の場で3人以上の会合は禁止。

普通ならEU圏内はパスポートチェックなく国境を越える行き来が可能だが、国境管理が強化され通勤や物流以外は許可されず。

・3月末からは成田-デュッセルドルフの直航便も運休、長期VISAを持たない人の入国は認められないことから、現代の鎖国状態と言える状況。

◼︎4月 マスク義務化

観光は禁止されているため、ゴールデンウィークに当たるイースター休暇は例年になく静かだった。4/20小売店舗に限り営業再開。4/27マスク義務化。


〜・いまの暮らし・〜

必要最低限の店舗のみの営業、在宅勤務や不必要な外出禁止等、様々な制限を強いられる生活がすでに1か月以上続いています。その制限は日本よりも厳しく、違反者には罰則がつくものです。

制限開始当初、不安を感じた人々による食料品や生活用品の買い占めでスーパーの棚が空になりましたが、スーパーが閉鎖になることはないという認識が安心感に変わり、以降同じようなことは起こらなくなりました。

フランス・パリでは現在10-19時の時間帯は個人的な運動目的の外出禁止制限がされていることを考えると、ドイツはそこまでコロナの感染状況が深刻化していないことを実感します。

ここドイツでは、以前から日曜日は休業日で一部のレストラン以外は店が閉まるため、日曜日は家族の時間、寒暖関係なく散歩をする習慣があります。さらに、1~3週間の長期休暇をゆっくり過ごす術を知っています。それらのベースがあるからか、日本の緊急事態宣言に比べると格段に厳しい制限があるにも関わらず、家にいる家族との長い時間の使い方が大変上手だと感じます。

天気の良い昼間には、ライン川沿いの遊歩道をジョギング、サイクリング、ウォーキング、犬の散歩と多くの人が家から出てきます。もちろん、ソーシャルディスタンスは保たれています。
ソーシャルディスタンス


遊び場である公園も閉鎖されているので子供のいる家庭は大変だと思いますが、家族皆で上記のような運動や在宅での遊びを工夫しているようです。州警察のHPには塗り絵シートや工作素材等のサイトが作られ、パトカーや警察ヘリの塗り絵や迷路等、子供たちが自宅で楽しむことができる様々な素材がダウンロード可能になっています。

これまでのところ食材が手に入っているので、食に関しては大きな不便や不安は感じていません。しかし、美理容店が閉鎖されているため髪が伸びて気になっているのは、男女とも同じではないでしょうか。

〜・これからの習慣・文化

このコロナウイルスの影響で、欧米のいくつかの習慣や文化が変わるのではと言われています。

その一つが挨拶です。握手や親しい人とのハグやチークキスは、現在厳禁。先日店舗にて私が購入した品物は、プラスティックで大きく覆われたレジの向こうからフライパンに載せて渡されました。なぜフライパンがレジに置かれているのか商品を渡されるまでその意味が分かりませんでしたが、そこまで他人との接近・接触を直接・間接的に徹底して避けているのです。コロナウイルスの感染が収まった後も、もしかしたら距離を保ってという習慣が残り、挨拶の文化が変わるかもしれません。

もう一つはマスクです。欧米ではマスクをする習慣がありません。マスクをしているのは重症の感染者という認識なのです。ですから、花粉症の時期や軽い風邪で人に迷惑をかけない為にマスクをしただけで周りから警戒されてしまいます。

このような理由から、2月にはマスクをすると前述(NYでの暴行事件)したようにアジア人だということで人種差別を受ける可能性がありました。しかし、3月になり感染が拡大するとWHOが当時マスクを推奨しなかったにも関わらず、マスクをしている人が増え始め、4月にはマスク姿が当たり前になりました。

そして今週から、公共交通機関や小売店を利用する際はマスク着用が義務化されたのです。今までマスクを買おうと思っても、薬局でも目にすることがなかったマスクを、現在は多くの人が着用しているという事実、2か月前には想像できなかった光景です。

〜・〜

5月6日、上記のような様々な規制の大幅緩和策が発表され、多数の感染者が出ている欧米主要国の中で、ドイツがいち早く市民生活の正常化に踏み出しました。とはいえ、油断せず、感染しないよう気を付ける生活をしながら、一刻も早いウイルス拡大の終息を願うのみです。

(ドイツ在住 川合展子 記)


このたびの新型コロナウィルス感染拡大では、各国のトップの対応も注目されています。ドイツのメルケル首相、ニュージーランドのアーダーン首相、台湾の蔡英文総統など、女性のリーダーシップが再認識される機会ともなりました。大町クラブ会員の皆さまも、職場や家庭などでご負担が増え、たいへんな心情を抱えながらご尽力されていることと思います。くれぐれもご自身のご体調にもご留意されますように。

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